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ドール
自己紹介:
物語を作るのは子供のころから好きでした。
心癒されるような童話を作りたいと持っています。

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「大丈夫、ぼくも一緒に月の女神を探してあげるよ」
「本当?」
パクは嬉しくて飛び跳ねました。
「行こう!早く行こうよ!」
パクは今にも走り出しそうです。



「おやおや、ありがとうも言えないのかい?」
突然誰かの声が聞こえてきました。

パクは驚いて、リョクの腕に飛び込みました。
リョクの腕の中から見下ろすと、茶色の土の上に茶色の何かがいます。

「あなたは、誰?」
リョクが尋ねます。

「あたしかい?あたしゃトカゲのチャイさ」
茶色いトカゲのチャイは答えました。

「パクとやら、おまえさんは、月の女神になど会えないだろうさね」
チャイはため息をつきます。

「ひどいよ、なんで皆ぼくに意地悪ばかり言うの?」
パクはまたしても悲しくなります。
「どうしてですか?」
リョクは驚いて聞きました。

「おやおや、お礼の一言も言えないような奴に、月の女神がお会いくださるとでも思っているのかい?」
チャイは呆れて肩をすくめます。

「リョクはパクのために一緒に月の女神を探してあげると言ったんだよ。パクはなんとも思わないのかい」
チャイに聞かれてパクは考えます。

「嬉しかったよ、飛び跳ねるくらい」
「そうかい。そういうときは“ありがとう”を言うと良いね」
チャイはパクに笑いかけます。

「“ありがとう”ってなに?」
パクには始めて聞く言葉です。

けれど“ありがとう”と言う言葉は、なんだかとてもワクワクして聞こえました。

「自分の為に誰かが何かをしてくれて、嬉しかったときの気持の言葉が、“ありがとう”なんだよ」
「気持の言葉?」
「そうだよ、それに“ありがとう”は、“魔法”の言葉なんだ。言ったほうも言われたほうもとても幸せな気持にしてくれるんだよ」
“魔法の言葉”と聞いてパクはますますワクワクです。

「リョクに“ありがとう”と言ってごらん」
「うん」
パクはリョクの顔を見上げました。

「リョク、あのね…」
でも何故だかドキドキそわそわして、なかなか言えません。

「“魔法の言葉”は、ほんのちょっと勇気がいる。でもだからこそ“魔法の言葉”になるのさ」
チャイに励まされ、パクは大きくうなずき言いました。

「リョク、一緒に月の女神さまを探してくれるの?」
「うん、一緒にね」
リョクは優しく微笑みかけます。

「ありがとう、リョク」
パクは、とうとう“ありがとう”と言えました。

するとどうでしょう。

チャイの言った通りにパクはなんだか幸せな気持になりました。
そして、同じようにリョクの気持ちにも幸せが生まれてきたのです。

「すごいね、パク。本当に“魔法”を使ったみたいだよ」
リョクがパクの柔らかい羽根耳を優しくなでると、パクはくすぐったそうに笑いました。

「チャイも月の女神に会ったことがあるんですか?」
「ああ、もちろんさ。願いも叶えてもらったよ」
リョクに尋ねられ、チャイは茶色いしっぽをゆらゆらと揺らします。

「女神さまの翼は茶色なの?」
パクは不思議そうに首を傾げます。

「いいや。どうしてそう思うんだい?」
「ぼく、女神さまの羽根と同じ色になりたいんだ」
パクは飛び跳ねながら言いました。

「おかしな事を言うね。その色は嫌いなのかい?」
「だって全然キレイじゃないでしょう?」
パクはションボリとうなだれます。

「キレイかそうでないかは、ヒトによるよ。あたしゃ自分のこの茶色い体が一番好きだね」
チャイはパクに良く見えるようにくるりと回りました。

「ぼくにはあまりキレイに見えないよ」
「ヒトによると言っただろう」
チャイは茶色の体を揺らして笑いました。

「チャイ、月の女神が何処にいるのか、教えてください。お願いします」
リョクにそう言われて、チャイは少し困った顔をしました。

「残念だが、あいにく知らないんだよ」
「だって会ったことあるんでしょう?」
「ああ、月の城にも行ったとも。だが月の城は移動なさる」
「お城が動くの?」
リョクもパクもびっくりです。

「何も驚くことはない。お月さまはお空を動くだろう。城も同じように動くだけのことさね」
チャイは物知り顔でうなずきます。

「今、月の城がどこにあるのか、あたしは知らない。だから教えてあげることはできないね。
だが、きっと知っている者もいるはずだ。探してごらん」
チャイは大きくうなずいて、ウィンクをくれました。

「この小道を行ってみるといい。きっと手がかりが見つかるはずた」
チャイの示す道の先をリョクとパクはながめます。

「ただし、花には気をつけるんだよ」
「ありがとうチャイ」


リョクとパクは、お礼を言いながら振り向きましたが、そこにはもうチャイはいませんでした。




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