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ドール
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物語を作るのは子供のころから好きでした。
心癒されるような童話を作りたいと持っています。

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「ではルリに会いに、カエラズの池に行きましょう。二人とも遅れないで着いてきてね」
そう言うと、アゲハはヒラヒラと舞い上がり、お花畑を飛んでいきます。

リョクは再びパクを抱きかかえて、アゲハの後を追いかけました。




カエラズの池は、確かにお散歩するほどの時間で着くかもしれません。
でも、その道のりはとてもお散歩とは言えそうもありませんでした。

岩だらけの丘を越えるには、ほんの少しの苦労が必要だったし、
飛び越すにはちょっと濡れそうな小川を渡るときには、わずかな勇気が必要でした。

しかし蝶であるアゲハには何の苦もなく飛べる道のりなのでしょう。
そうしてアゲハはリョクとパクを薄暗い森へと誘います。


薄暗い森の細長い小道を、心細く思いながら進むと、やがて背の高い草の間に、隠れるようにしてその池は在りました。

「ここがカエラズの池よ」
アゲハは背の高い草の一本に留まり一休みです。

カエラズの池は薄暗がりの中、暗い水をたたえ静まりかえっていました。

「ビージェイ。アゲハよ。居るのでしょう?出てきてちょうだい」
アゲハは静かな池に向かって声を張り上げます。

「ビージェイ!」
「うるさいのぉ、聞こえておるわい」
池の中程から声が聞こえます。

見れば濃い緑色の小さな何かが泳いでいました。
それは段々と近付いて来るようです。

「あれは誰?」
パクはアゲハに尋ねます。

「大ガエルのビージェイよ。この池の主で物知りなの」
アゲハはそう答えました。

「おやおや、誰かと思ったらアゲハじゃったか。久しぃのぉ、いつ帰った?」
声の主は池の端から上がり、リョクの足元へとノソリノソリと歩いてきます。

それはリョクの手のひらくらいの大きさの深緑色のカエルでした。
そのあごには体よりも長い白いヒゲが生えていて、ズルズルと引きずっています。

「ついさっき帰ったばかりよ。ところでビージェイ、ここにルリが居るって聞いたんだけど」
「おぉ、居るぞ。可愛そうにあんな姿になってしまって」
「あんな姿って、どういうこと?」
アゲハは驚いて大きく翅ばたき飛びあがります。

「それはそうと、この人間の子は何じゃね」
ビージェイは怪訝そうにリョクを見上げました。

「ああそうね。この子はリョクよ。そっちのハネウサギはパク。ルリを訪ねてきたの」

「人間の子がルリに何の用じゃ?」
リョクを見るビージェイの目は、何故かとても怒っているようです。

「月の城のことを教えて欲しいんです」
「月の城じゃと。お前さんもあの娘蝶(コチョウ)を傷つけるつもりか?」
ビージェイは、リョクを睨みつけて更に怒りだします。

「どうしたのよビージェイ。ルリに何があったというの?」
「池の真ん中にある岩の上を見てみい」
ビージェイはそう言うと、緑色の細い指で、池の中程を示します。

そこには、両手を広げたほどの岩がポツンと置かれていました。
そしてその上に誰かが座っているのです。

「女の子?」
リョクにはそれが人間の少女に見えました。

「ビージェイ、私はルリのことを聞いているのよ!」
アゲハはじれったくて苛々してきました。


「あれが、ルリなんじゃよ」
ビージェイは哀しそうな溜め息をつきました。


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