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			<title>月の女神とたった一度だけの願い事</title>
			<description>オリジナル童話</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/</link>
			<language>ja</language>
			<copyright>Copyright (C) 2005-2008 SAMURAI-FACTORY ALL RIGHTS RESERVED.</copyright>

		<item>
			<title>荒野の家⑥</title>
			<description>
			<![CDATA[「女神さまに許されていることは、たったひとつだけ。<br />
月の城へとやってくる者たちが<br />
無事にたどり着けるように祈ることだけなんだ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「スゴいね、フィール。どうしてそんなに色んな事を知っているの？」<br />
月の女神の事を良く知っているフィールを、パクは不思議に思いました。<br />
<br />
「全部チャイから聞いたことなんだ」<br />
フィールは恥ずかしそうに答えました。<br />
「チャイ？」<br />
リョクもルリもパクも驚きました。<br />
<br />
「月の城に行った事があると言っただろう」<br />
チャイはすました顔で答えます。<br />
「私も月の城に行ったけれど、全然知らないわ」<br />
<br />
「そりゃそうさ。月の城まで辿った道のりが違う。道が違えば学ぶこともまた違ってくるのさ」<br />
チャイは大分静かになってきた風の音に耳を傾けました。<br />
<br />
「風が止んできた。そろそろいとましようかねぇ」<br />
「ボク、もっとフィールとお話ししたいよ」<br />
パクはフィールの腕に抱きつきます。<br />
<br />
「フィールが大分疲れているようだ。もう休ませた方が良い」<br />
チャイの言う通り、フィールは少し顔色が悪いようです。<br />
「ごめんね、パク」<br />
フィールは寂しそうに言いました。<br />
<br />
ルリに手を借りて、フィールはベッドに横になります。<br />
薄い粗末な毛布を掛けてあげると、フィールは浅くため息をつきました。<br />
<br />
「無事に月の城に着けるように、僕はずっと祈っているからね」<br />
そう言うとフィールは柔らかく微笑みました。<br />
「フィール？」<br />
<br />
なのに、何故なのでしょう。<br />
フィールのその光を失った二つの目からポロリポロリと涙がこぼれたのです。<br />
<br />
その時リョクにはフィールの声が聞こえたような気がしました。<br />
それはフィールの言葉に出来ない本当の願い事。<br />
<br />
《僕も君たちと一緒に、月の城に行きたい》<br />
<br />
誰もが願いを叶えてもらうために月の城へと旅立ちます。<br />
だけれどフィールにとっては、月の城へと向かうこと自体が決して叶えられることのない一番の願い事だったのです。<br />
<br />
「フィール…」<br />
リョクは弱々しく横になるフィールのその白い手にそっと触れ言いました。<br />
<br />
「約束するよフィール。きっと月の城へ辿り着くから」<br />
「私も約束するわ」<br />
「ボク絶対、月の城に行くからね」<br />
ルリもパクもフィールの手を握り約束しました。<br />
<br />
「ありがとう」<br />
フィールはゆっくりとその柔らかな睫毛をおろします。<br />
やがて静かな寝息が聞こえてきました。<br />
<br />
「行ってきます」<br />
リョクは小さくつぶやきベッドから離れると、そっとドアを開き皆と外に出ます。<br />
ドアを閉めようとして、ふと少しだけ隙間を作りました。<br />
<br />
「リョク？」<br />
ルリが不思議に思い訊ねると、リョクは歩き出しながら答えました。<br />
<br />
「フィールをこの部屋に閉じ込めてしまいたくなかったんだ・・・」<br />
<br />
<br />
荒野の家の回りに吹き荒れていた強い風は、<br />
今柔らかくリョクたちの頬を撫でています。<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/62/</link>
			<pubDate>Sun, 31 Jan 2010 04:13:57 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>荒野の家⑤</title>
			<description>
			<![CDATA[たった一度だけの願いを選ぶということは、実はとても難しい事なのだと、気が付いたのです。<br />
<br />
<br />
<br />
「もっとたくさん願いを叶えてくれれば良いのに。女神様ってケチだよ」<br />
思わずパクは口をとがらせて言いました。するとフィールはクスっと笑います。<br />
<br />
「それは違うよ、パク。<br />
女神様は一つだけしか叶えてくれないのじゃない。<br />
一つだけしか叶えてあげることが出来ないんだよ。そう決められているんだ」<br />
<br />
「どこが違うの？」<br />
パクには同じことの様に聞こえます。<br />
<br />
「女神様はね、本当は全ての願いを叶えてあげたいと思ってる。でもそれは決して許されない事なんだよ」<br />
「そうなの？」<br />
「もしも全て願いが叶うようになったらどうする？」<br />
「いっぱいいっぱいお願いするよ」<br />
<br />
「そうだね、全ての願いが叶うんだもの<br />
でも、もし全ての願いが叶ってしまったら？それからその後はどうするの？」<br />
<br />
パクは考えてみました。<br />
<br />
どんなことでも全て叶うのです。いつしか願いは願いとは言えなくなるのではないのでしょうか。<br />
願うことをやめたとき、命はきっと輝くことを忘れてしまうはずです。<br />
<br />
たった一度だけの願い。<br />
それはたった一つきりの命と同じ輝きを持っているのかもしれません。<br />
<br />
「それにね、そのたった一つの願いさえ、叶えてもらえない人もいることに気がついているかい？」<br />
フィールは寂しそうに微笑みました。<br />
<br />
「そんな…不公平だわ」<br />
思わずルリはつぶやきます。<br />
<br />
「…女神様だね」<br />
リョクの声を聞いて、フィールは頷きます。<br />
<br />
「そうだよ。<br />
どんなヒトの願いでも一つだけ叶えてくださる女神様も、自分の願いだけは叶えることが出来ないんだ<br />
だけど、女神様が願いを叶えてもらえる方法が、ただ一つある」<br />
<br />
「どうすれば良いの？」<br />
ルリは女神を気の毒に思いました。<br />
<br />
「簡単な事なんだよ。誰かが女神様の為に願ってあげればいいんだ」<br />
<br />
だけれど、そんな人が果たして居るのでしょうか。<br />
<br />
月の城までの道程は果てしなく遠く、様々な困難も越えていかなくてはなりません。<br />
どうしても叶えて欲しい願いを抱き、沢山の苦労を重ねやっと辿り着いた月の城なのです。<br />
やっと叶えてもらえる自分の願い事を忘れて、生まれて初めて目にした月の女神の願いなど、きっと尋ねる者さえいないでしょう。<br />
<br />
「無理だよね、そんなこと。僕にだって絶対に出来そうにないもの」<br />
フィールは困った顔でつぶやきます。<br />
<br />
<br />
<br />
「女神さまに許されていることは、たったひとつだけ。<br />
月の城へとやってくる者たちが無事にたどり着くように祈ることだけなんだ」<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/58/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:34:06 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>荒野の家④</title>
			<description>
			<![CDATA[リョクは言い掛けた言葉を飲み込みました。<br />
<br />
<br />
ルリはフィールにどんな言葉をかけて良いかわかりませんでした。<br />
<br />
ルリは月の城に行き、月の女神に人間の少女の姿にしてもらいました。<br />
もちろんその道程はとても大変でしたから、ルリが叶えてもらった願いは十分にあたいするものです。<br />
<br />
でもルリは思いました。<br />
何の為だったのだろう、と。<br />
<br />
少女の姿になっていったい何が叶ったというのでしょう。<br />
姿形を変えるより、自分自身の心が変わらなければいけなかったのでは無いだろうか、とルリは思いました。<br />
<br />
ルリはフィールの病気が治るようにと月の女神にお願いしたいと思いました。<br />
<br />
でも月の女神に願えるのはたった一度。<br />
その、たった一度の願いを、ルリはすでに叶えてもらっているのです。<br />
<br />
リョクがルリを蝶の姿に戻れるように願ってくれると言ってくれました。<br />
でもルリは、リョクにフィールの為に願って欲しいとは言えませんでした。<br />
<br />
だって、それはリョクのたった一度の願いです。<br />
出来るならば誰かの為ではなく、リョク自身の為に願って欲しいとルリは思ったのでした。<br />
<br />
<br />
パクもまた思いました。<br />
<br />
僕がフィールの為にお願いしてあげればいいんだ、と。<br />
でもそれならばパク自身の願いは何処に行けば良いのでしょうか。<br />
叶わなかった願いは行き場所もなく、きっといつまでもパクを後悔させるかもしれません。<br />
<br />
<br />
結局どうすることも出来ずに、皆は押し黙ってしまいました。<br />
たった一度だけの願いを選ぶということは、実はとても難しい事なのだと、気が付いたのです。<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/57/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:31:42 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>荒野の家③</title>
			<description>
			<![CDATA[フィールの蒼白い顔がぎこちなく微笑みました。<br />
<br />
<br />
<br />
「君は死にたいの？フィール」<br />
暫しの沈黙の後、リョクは静かに問い掛けました。<br />
<br />
「僕はね…」<br />
フィールは躊躇いながらも話しました。<br />
<br />
「僕は生まれた時から体が弱くて、何度も大きな病気をしている。そのせいで目も見えなくなってしまったんだ」<br />
ひゅうひゅうと風がうなり、窓をガタガタと揺らします。<br />
<br />
「僕の治療費の為に、お父さんは遠くの町に働きに行った。でも働いていた工場で事故があってね。去年死んじゃった」<br />
フィールの笑顔が微かに歪みます。<br />
<br />
「今はお母さんが僕の為に働いてくれているよ…。<br />
僕はね死にたい訳じゃない。ただこれ以上お母さんを苦しめたく無いんだよ」<br />
<br />
「そんなこと…」<br />
言って欲しくない、とルリは思いました。<br />
でもフィールのどうしようもない思いもまたあるのです。<br />
<br />
「せめて、病気を治して欲しいと願うことは出来ないの？」<br />
「無理だよ」<br />
ルリに答えてフィールは寂しく微笑みます。<br />
<br />
「本当に月のお城に行くわけではないのだもの」<br />
決して叶うはずの無いことを願えるほどフィールは強くはなれ無いのでした。<br />
<br />
「でもそれじゃまるで」<br />
死にたいと言っているのと同じだよ、とリョクは言いそうになりました。<br />
<br />
「僕が…」<br />
僕が月の城に行ってフィールの病気を治して欲しいとお願いしてあげる。<br />
<br />
リョクはそう言おうとして、はっとしました。<br />
ルリとの約束を思い出したのです。<br />
<br />
月の女神にお願いしてルリを蝶の姿に戻してあげる。<br />
<br />
確かにリョクは、ルリと約束をしたのです。<br />
月の女神が叶えくれる願いはたった一つだけ。<br />
<br />
フィールの事をねがうなら、ルリとの約束を破ることのなってしまいます。<br />
ルリを見ると、とても困った顔をしていました。<br />
<br />
リョクは言い掛けた言葉を飲み込みました。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/56/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:29:22 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>荒野の家②</title>
			<description>
			<![CDATA[リョクたちはチャイの案内で、チャイの友達の家へと向かいました。<br />
<br />
<br />
<br />
その家はとても小さな家でした。<br />
さっきまでいた丘とは全く違い、強い風が吹き荒れる荒野の一軒家です。<br />
<br />
「元気かい？フィール」<br />
<br />
「チャイ、来てくれたんだね」<br />
家の中の粗末なベッドに一人の少年が座っていました。<br />
<br />
「ありがとう、チャイ」<br />
しかし少年の視線はチャイに向けられていませんでした。<br />
<br />
「今日は友達も一緒に来たんだ。仲良くしておくれかい？」<br />
「もちろんだよ。よろしくね」<br />
握手の為に差し出された手も、誰も居ない方へと延ばされます。<br />
<br />
リョクは慌ててその手を握りました。<br />
「目が…」<br />
<br />
戸惑うようなリョクの声にフィールは微笑んで答えます。<br />
「うん、見えないんだ。ごめんね、驚かせて」<br />
<br />
「この子はリョクだ。お前さんと同じくらいの男の子だよ。<br />
こっちはルリ、可愛い女の子だ。<br />
それにパク。前に話しただろう、羽うさぎだ覚えているかい？」<br />
チャイは見えていないフィールにも分かるように、リョクたちのことを紹介しました。<br />
<br />
「もちろんだよ、会いたかったんだ、嬉しいな」<br />
フィールは嬉しそうに手を差し伸べます。<br />
パクが手元に行くと、フィールはパクの柔らかな毛皮を優しく撫でました。<br />
<br />
「チャイから君達のことを聞いているよ。旅をしているんだってね」<br />
<br />
「月の城に行くんだよ」<br />
「女神様に叶えて欲しいお願いがあるんだもん」<br />
リョクとパクが言うとフィールもにっこりと微笑んで答えます。<br />
<br />
「僕も毎晩、月の城に行っているんだよ」<br />
「え？」<br />
皆はビックリしてしまいました。<br />
<br />
「夢の話だよ。僕は毎晩夢の中で、月のお城まで女神様に会いに行くんだ」<br />
「なんだ夢の話なんだね」<br />
パクは羽耳をパタパタさせながら言いました。<br />
<br />
「驚かせたかい？」<br />
フィールはクスクスと笑いいます。<br />
<br />
「でもね、僕は女神様にお会いするたびお願いをしているんだよ」<br />
「夢なのに？」<br />
<br />
「そう。実際には決して行けそうにないけれど、僕は夢の中で女神様にお願いするんだ」<br />
フィールの笑顔を見ながら、何故かチャイは悲しい顔でうつむきます。<br />
<br />
「どんなお願いをするの？」<br />
パクがワクワクして訊ねると、フィールはパクの羽耳を軽やかな指先で遊ばせながら笑顔で答えます。<br />
<br />
<br />
「女神様お願いです。<br />
早く僕を神様のもとへお連れください」<br />
<br />
フィールの蒼白い顔がぎこちなく微笑みました。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/55/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:27:25 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>荒野の家①</title>
			<description>
			<![CDATA[お婆さんの亡骸は、やがて光りの中で一輪の薔薇の蕾となり、粉々になって消えていきました。<br />
<br />
リョクたちはお婆さんの家を離れ旅を続けることにしました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「おや、お前さんたち、久しぶりだねぇ」<br />
気持ちの良い丘を歩いていると、足元から声が聞こえました。<br />
<br />
それは聞いたことのある声でした。<br />
<br />
「チャイ」<br />
リョクとパクを旅へと導いてくれたトカゲのチャイでした。<br />
<br />
「こんな所で会えるなんて」<br />
リョクは嬉しそうに微笑みます。<br />
パクもはしゃいでいました。<br />
<br />
旅の途中に知っている顔に会えるのはとても嬉しいことなのです。<br />
<br />
「元気そうだね。良いことだ。まだ旅を続けていたんだねぇ」<br />
「はい」<br />
<br />
「おや？新顔だね」<br />
チャイはルリの顔を見上げます。<br />
<br />
「はじめましてルリです」<br />
「あたしゃチャイだよ。よろしく」<br />
チャイは茶色い尻尾を高く上げました。<br />
<br />
「チャイは何でこんな所にいるの？」<br />
パクは不思議そうに訊ねます。<br />
<br />
「ああ、友達の見舞いにね」<br />
「お見舞い？お友達は病気なのですか？」<br />
ルリは気の毒に思いました。<br />
<br />
「ああ、そうなんだよ。これから行くところなんだが、一緒に行くかい？」<br />
「行っても良いのかな？」<br />
「なあに、あの子もきっと喜ぶよ」<br />
リョクの心配にチャイは笑って答えます。<br />
<br />
<br />
リョクたちはチャイの案内で、チャイの友達の家へと向かいました。<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/54/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:22:04 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>約束の恋人たち⑭</title>
			<description>
			<![CDATA[リョクたちはラルドからの手紙を待って、大急ぎでお婆さんの家へと向かいました。<br />
<br />
<br />
<br />
明け方近い空には、まだ月が残っていました。<br />
<br />
月の光を受け、蝶の姿になったルリの案内でお婆さんの家へと辿りついたリョクとパクは頑なに閉ざされてしまったドアを叩きます。<br />
<br />
「お婆さん、ここを開けてください」<br />
「渡したいものがあるんだよぉ」<br />
けれどもドアは開きません。<br />
<br />
まさか本当に死んでしまったのではないかと思ったとき、リョクたちのすぐそばで男の人の声が聞こえました。<br />
<br />
とても優しい声でした。<br />
<br />
「ローズリップ、僕だよ。ここを開けておくれ」<br />
だけれど周りを見回してみても誰もいません。<br />
<br />
「ずいぶん遅くなってしまったね。すまなかった…迎えにきたよ」<br />
すると、家のドアがゆっくりと開き、悲しい目をしたお婆さんが姿を見せました。<br />
<br />
「お前さんたち…」<br />
お婆さんは、リョクとパクと青い小さな蝶を見て不思議そうに首を傾げます。<br />
<br />
「今、ここに…、いや、そんな訳は無いね。…何か用かい？」<br />
<br />
「渡したいものがあるんです」<br />
リョクは紙切れをお婆さんに渡しました。<br />
<br />
「これは…」<br />
<br />
<br />
<br />
『ローズリップ。<br />
きっと今頃心配しているだろうね。それとも怒っているだろうか。<br />
<br />
君を迎えに行く途中で、僕は谷に落ちて出られなくなってしまった。<br />
<br />
あれからどのくらい経ってしまったんだろう<br />
でも必ずここを出て、君を迎えに行くから待っていておくれ。<br />
<br />
愛している、ローズリップ。<br />
必ず必ず行くから…』<br />
<br />
<br />
<br />
手紙の最後の方は文字が掠れて見えなくなっていました。<br />
きっとラルドが最期の力で書き残したものだったのでしょう。<br />
<br />
「ラルド…」<br />
つぶやいたお婆さんの目から一粒の涙がこぼれました。<br />
<br />
「迎えに来たよ、ローズリップ」<br />
声に呼ばれ顔を上げると、お婆さんは若い娘の姿に変わっていました。<br />
<br />
差し出された手は、ラルドの姿を現しました。<br />
<br />
「さあ、行こう」<br />
手を取りあったローズリップとラルドは、リョクたちに深く頭を下げました。<br />
すると二人の姿はゆっくりと霧が霞んで消える様に薄れていきました。<br />
<br />
白み始めた空に月がその影を隠すと、ルリの姿が少女に変わります。<br />
差し込んだ朝日は家の中を照らしました。<br />
<br />
「お婆さん…」<br />
家の中でお婆さんが倒れているのが見えました。<br />
<br />
急いで駆け寄りましたが、その体はすでに冷たくなっていました。<br />
<br />
「きっとあのローズリップは、お婆さんの魂だったんだね」<br />
お婆さんの亡骸を見つめてリョクは言いました。<br />
<br />
「悲しいまま逝かせずにすんだわよね」<br />
ルリがポツリとつぶやきました。<br />
<br />
お婆さんの亡骸は、やがて光りの中で一輪の薔薇の蕾となり、粉々になって消えていきました。<br />
<br />
<br />
リョクたちはお婆さんの家を離れ旅を続けることにしました。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/53/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:14:19 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>約束の恋人たち⑬</title>
			<description>
			<![CDATA[リョクたちは暗い谷底を、遺された物を信じて探し始めました。<br />
<br />
<br />
<br />
真っ暗な谷底では、ロケットの破片が放つ光だけが頼りでした。<br />
<br />
谷底の奥にはいくつかの横穴がありました。<br />
７つ目に入った横穴の先に、リョクたちはそれを見つけたのです。<br />
<br />
「あっ！」<br />
「ヒャン」<br />
「きゃ…」<br />
それはすでに真っ白になった人の骨でした。<br />
<br />
「ラルド…なの？」<br />
「待って、何が持ってるよ」<br />
白い骨だけの手に、紙が握られていました。<br />
<br />
「ラルドだよ。ラルドからローズリップへの手紙なんだ」<br />
それは紛れもなくラルドからローズリップへ宛てて書かれたものでした。<br />
<br />
「これをローズリップに、必ず届けなくてはいけないね」<br />
リョクはパクとルリの顔を見つめて言いました。<br />
<br />
「でも、ここからどうやって出るの？」<br />
パクは心細く訊ねます。<br />
<br />
「ラルドが教えてくれているわ」<br />
ルリは、もう片方の白骨の手が差している方向を、同じ様に指差しました。<br />
<br />
「きっとこっちを掘って行けば、ここから出られるのよ」<br />
リョクたちはルリの言葉を信じて、掘り進めることにしました。<br />
すると大した時間も掛からずに外に出られたのです。<br />
<br />
「もうちょっとで出られたのね…」<br />
「あそこで力尽きてしまったんだ」<br />
リョクたちはラルドからの手紙を待って、大急ぎでお婆さんの家へと向かいました。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/52/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:10:56 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>約束の恋人たち⑫</title>
			<description>
			<![CDATA[光りは明るく谷底を照らしました。<br />
<br />
<br />
<br />
「これで出口が探せるわね」<br />
ルリは嬉しそうに言いました。<br />
<br />
「早くここを出て、ローズリップを助けに行かなきゃ」<br />
「ローズリップ？」<br />
リョクとパクは驚いた様に聞き返しました。<br />
<br />
「あのお婆さんのことよ。<br />
恋人に裏切られたと思って、とても悲しんでいるの。あのままではいつか死んでしまうわ」<br />
<br />
「やっぱり本当のことだったんだ」<br />
リョクはルリに妖精達に出会った事を話しました。<br />
<br />
ローズリップは妖精だったこと、<br />
月の欠片を飲んで妖精達な怨みをかい、仕返しにローズリップの恋人のラルドはここに落とされたこと。<br />
<br />
「そして僕たちもここに落とされたんだ」<br />
「ローズリップは妖精だったの…<br />
それにしても酷いわ！ローズリップはとても苦しんでいるのよ」<br />
ルリは憤りを押さえられませんでした。<br />
<br />
「でも、やっぱりラルドはローズリップを裏切ったわけではなかったのね」<br />
悲しい恋人達を思いルリは切なくなります。<br />
<br />
「どうすれば良いのかな？<br />
どうすればローズリップを救ってやれるだろう」<br />
「簡単だわ、ラルドに合わせてあげれは良いのよ。この谷底の何処かにラルドはいるのでしょう？」<br />
ルリは嬉しそうに微笑みます。<br />
<br />
「ルリ…ラルドがここに落ちたのは何十年も前の事なんだよ。<br />
この暗闇でたった独り…多分助けなんか来なかったはすだ。<br />
だからローズリップにも逢いに行けなかったんだよ」<br />
<br />
「そんな…」<br />
言い難そうに言ったリョクの言葉は、ルリをとても悲しませました。<br />
<br />
「それでも何か遺しているかもしれないね…。<br />
探そう、ラルドがローズリップを愛していたと言う証を。きっと在るはずだよ」<br />
<br />
<br />
リョクたちは暗い谷底を、遺された物を信じて探し始めました。<br />
<br />
<br />
<br />
]]>
			</description>
			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/51/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:09:11 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>約束の恋人たち⑪</title>
			<description>
			<![CDATA[お婆さんの言葉を聞き、ルリはパタパタと翅ばたくと森の奥へと飛んで行きました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「リョク…パク…」<br />
ルリは暗い森を懸命に飛び続けます。<br />
<br />
リョクとパクの姿を求めて飛んでいるのです。<br />
<br />
「リョクとパクが、きっとローズリップを助けてくれるわ」<br />
カエラズの池で悲しく震えていたルリを救いだしてくれたように、リョクとパクがローズリップを救ってくれるとルリは信じていました。<br />
<br />
その時何処かで声が聞こえました。<br />
<br />
「リョク？…パクなの？」<br />
声が聞こえた場所は、月の光に照らされた白い花が咲き乱れる小さな谷でした。<br />
<br />
そこにリョクとパクがいました。<br />
<br />
「リョク！パク！」<br />
突然谷底か割れ、リョクとパクは落ちてしまったのです。<br />
<br />
慌ててルリは、リョクとパクを追い、谷底に飛び込みました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「大丈夫かい？パク。どこにいるの？怪我はしていない？」<br />
リョクの声がしました。<br />
谷底は真っ暗で何も見えないのです。<br />
<br />
「ここだよ。大丈夫、どこも痛くないもん」<br />
すぐ側でパクの声がしました。どうやら無事のようです。<br />
<br />
「リョク！パク！」<br />
突然リョクとパクは誰かに抱きつかれました。<br />
<br />
「ルリ？ルリなの？」<br />
リョクは暗闇の中を懸命に目を凝らします。<br />
<br />
「ええ、ルリよ。良かったふたりに会えて」<br />
ルリの涙声が聞こえます。<br />
<br />
「ルリ、泣いてる？」<br />
パクは心配になります。<br />
<br />
「大丈夫、もう平気よ」<br />
ルリは手探りでパクを抱き締めました。<br />
パクのふわふわの毛を撫でるととても落ち着けました。<br />
<br />
「真っ暗で何も見えないね」<br />
リョクが困った様に言います。<br />
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これでは出口すら探せません。<br />
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「月の光もとどか無いのね。だからもとに戻ってるんだわ」<br />
ルリはお婆さんの魔法で、月の光を浴びている間、蝶の姿になれるようになったのだとリョクとパクに話しました。<br />
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「スゴイスゴイ、良かったねルリ」<br />
パクは跳び跳ねます。<br />
でも真っ暗なので転んでしまいました。<br />
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「何が灯りになるものがあれば良いのだけれど」<br />
リョクは困った様に言いましたが、生憎何も持ってはいませんでした。<br />
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「せめて月の光だけでも良いのに」<br />
するとリョクの襟元がぼんやりと光り出しました。<br />
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「ロケットの破片が光ってる？」<br />
小さな硝子瓶の中でロケットの破片が不思議な色で輝いているのです。<br />
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「本当に月の欠片なのかな？」<br />
妖精達の言っていたのは本当のことだったのでしょうか。<br />
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でもこれはただの壊れたロケットの破片だと言うことはリョクが一番知っているのです。<br />
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光りは明るく谷底を照らしました。<br />
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			<link>http://siraki.en-grey.com/Entry/50/</link>
			<pubDate>Thu, 22 Oct 2009 12:08:29 GMT</pubDate>
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