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出発①

「大丈夫、あの子たちならきっと月の城に辿り着くじゃろうて」
ビージェイはあご髭を撫でながら、水面の波紋が消えるまで笑顔で見送っていました。



リョクたちを乗せてオーシャンはドンドンと深く潜っていきます。

「うわーん、怖いよぉ、息が出来ないよぉ」
パクは必死でもがきます。

「パク、大丈夫、息が出来るよ」
「不思議…」
リョクに抱きついていたパクは恐る恐る顔をあげました。

回りは青い色でいっぱいの水の中なのに、どういう訳か息が出来るのでした。
しかも水は全く冷たくないのです。

見上げると高い所にキラキラと光る水面が見えました。

「膝くらいの深さしか無かったのに」
リョクは不思議そうにつぶやきます。

「浮上するぞ、しっかりつかまっておれ」
オーシャンは上に向かって泳ぎだしました。

ザバッと音を立てて、リョクたちを背中に乗せた大海亀は、水面の幕を破りました。

そこは広い広い海原でした。
ずっと遠くに見えるまっすぐの水平線、空は何処までも高く広がり海鳥が悠然と翼を広げています。

「うわぁ、スゴい広いね。ここはどこなの?」
海を初めて見たパクはびっくりです。

「これが海さ」
オーシャンは誇らしげに胸を張ります。

「全て受け止め許してくれる、我らが母なのだよ」
「スゴいねー」
パクには何のことなのか良くわからなかったのですが、とにかく気持ちの良いところだなと思いました。

「さて、あそこに陸地があるのが見えるかな?」
「はい」
少し離れた所になにやら陸かあるのがリョクにも見えました。

「よしよし、あそこまで送って行こう」
オーシャンはゆったりと海の上を進んで行きます。
陸が近づくと小さな海岸と高い絶壁がそびえ立っているのが分かりました。

「着いたぞ。さあ降りなさい」
パクは勢い良く飛び降りると、嬉しそうに砂浜を転がります。

次に降りたリョクはルリに手を貸して降りるのを手伝ってあげました。

「ここは何処なのですか」
リョクはオーシャンに尋ねます。

「それは教えられない。君たちが自分で知ることが必要なのだよ」
オーシャンはリョクたちに向かって言いました。

「良いかな。本当に大事なものは何かをいつも自分に問いなさい。
何か大切なものを見落としていないか、自分勝手になってはいないか。
そして自分を信じなさい。きっと道が開けるはずだ」

「はい」
「うん」
リョクとパクが頷きます。

「そしてルリや」
「はい」

「月の女神は、いつでもお前を見守っていることを忘れないようにな」
ルリはしっかりと頷きました。


見届けてオーシャンは海へと帰っていきました。



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