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ドール
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物語を作るのは子供のころから好きでした。
心癒されるような童話を作りたいと持っています。

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「宿をとっておいた。ルリもパクもそこでリョクの帰りを待ってるぜ」
それは夜空に生まれた虹の様に、瞬き輝いていました。



クーロがとっておいてくれた宿はとても居心地の良い部屋でした。
耳を澄ますと海からサワサワと波の音が聞こえます。

ルリもパクもリョクのことを心配して、ずっと待っていてくれていたのです。

「僕は、もうずっと前から、突然いなくなってしまった友だちを探して、旅をしていたんだ」
宿での美味しい食事を終えてから部屋へ戻り、リョクは話します。


「コウは、僕の一番大切な友だちだったんだ…それなのに、僕は…」





「すごいなリョクは。こんなのが作れるんだ」
それは真っ青な空がキラキラ光る夏の真昼の事でした。

リョクの部屋に招かれたコウは、リョクが手作りしたと言う銀色に輝くロケットの模型を見て、驚きの声を上げていました。

「スゴくカッコ良いよ、コレ。俺もこんなの作ってみたいなぁ」
コウの手の中で、ロケットは今にも宇宙へ飛び出すかの様なシルエットを描いています。

「一人で作ったんだよ。難しかったけど頑張ったんだ。出来上がるまで、いっぱい時間が掛かっちゃった」
リョクは照れた笑顔を見せます。

コウは宇宙飛行士になるのが夢でした。
いつかこんなロケットに乗って憧れの馬頭星雲を見に行きたいと思っているのです。

だから自分に内緒で、いつの間にかこんなにカッコ良いロケットを作っていたリョクのことが羨ましくてしかたありませんでした。

「ライムソーダ水があるんだ。コウ、もちろん飲むよね」
リョクはコウをびっくりさせたことが嬉しくて上機嫌でした。

「…うん」
でもコウはロケットに見とれて上の空です。

リョクはクスクスと笑いながら、コウの大好きなライムソーダ水を淹れにキッチンへと向かいました。

「ライムソーダ水色の空を、銀色のロケットは真っ直ぐ登って行くのです…」
コウはロケットを手にして、つぶやきながら高く差し上げました。

やがてロケットは、リョクの部屋に飾られた馬頭星雲の写真の前をゆっくりと横切ります。
不思議で美しい形の星雲の写真で、それはコウがリョクにあげた物でした。
なんだかコウは、このロケットに自分とリョクが乗っている様な気持ちになりました。

リョクはコウに約束してくれていたのです。
コウの操縦するロケットに自分も乗って、一緒に馬頭星雲を見に行くと。

「あっ!」
その時、コウは何かにつまづいて転んでしまいました。


ガシャンッ


と、何かが壊れる音がしました。

コウの転んだ足元には、コウが持って来た星の写真集が落ちているのが見えます。
それは、とても大きな本で、上を向いていたコウはこの本に気が付かず、つまづいてしまったようでした。
硬いフローリングの床に打ち付けて、コウの膝に血が滲んでいるのも見えます。

コウは恐る恐る何かが壊れた様な音のした方へと顔を向けました。

「嘘だろ…」
そこには、星屑の様にキラキラと散らばる、銀色の破片で出来た宇宙が広がっていました。


そしてその真ん中には、銀色の胴体を真っ二つに折られたロケットが落ちていたのです。




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